その他お役立ち・激動の時代に生きた千姫 墓所(伝通院)

東京都文京区小石川3-14-6

街情報 歴史 寺めぐり 天樹院 千姫の墓 東京都小石川3丁目伝通院

千姫
（せんひめ、慶長2年4月11日（1597年5月26日） - 寛文6年2月6日（1666年3月11日））
安土桃山時代から江戸時代の女性で、豊臣秀頼・本多忠刻の正室である。父は徳川秀忠、母は浅井長政と信長の妹お市の娘である崇源院。号は天樹院。
彼女の生涯は、激動の時代にあり、祖父徳川家康の婚姻政策により７歳で従兄妹の豊臣秀頼と結婚するため、乳母の刑部卿局とともに大坂城に入る。彼女は穏和な性格の持ち主であり、実際に豊臣秀頼と側室の間に生まれた娘・奈阿姫が処刑される所（慶長20年（1615年）の大坂夏の陣）を体を張った必死の助命祈願を行い、その結果、奈阿姫を養女にし、助けた。という。
なお、千姫は祖母お市の方の聡明さと、美貌を受け継いだたいへん美しい姫君であったという。しかも、夫秀頼とはたいへん夫婦仲睦まじかったと言う逸話が残っている。それは千姫が十六歳のとき、夫秀頼が女性の黒髪を揃える儀式「鬢削（びんそぎ）」を千姫にしていたのを侍女が目撃したと言う話が残されている。
元和2年（1616年）、桑名藩主本多忠政の嫡男忠刻と結婚。
翌年の元和3年（1617年）、本多家が播磨姫路に移封になった時には8月28日に桑名を発って姫路に移って播磨姫君と呼ばれるようになる。
夫忠刻とも夫婦仲睦まじく、翌元和4年（1618年）には長女勝姫、元和5年（1619年）には長男幸千代が生まれるが、元和7年（1621年）に幸千代が3歳で没したのを始め、その後は流産を繰り返すなど子宝に恵まれず（これは秀頼の崇りだと言われた）、寛永3年（1626年）には夫・忠刻、姑・熊姫、実母・崇源院が次々と没するなど不幸が続き、本多家を娘・勝姫と共に出て江戸城に入り、出家して天樹院と号す。
出家後は娘と二人で竹橋の邸で暮らす。寛永5年（1628年）に勝姫は池田光政の元へ嫁ぎ、一人暮らしとなる。
池田家に嫁いだ一人娘のことを心配し、「天樹院書状」を送っている。
寛永20年（1643年）、鎌倉の東慶寺の伽藍を再建する。
正保元年（1644年）には迷信を避ける為に江戸城から来た、3代将軍家光の側室お夏の方（後の順性院）とそこで生まれた家光の次男・綱重と暮らすようになる。このことで大奥でたいへん権力を持ったという。
明暦3年（1657年）の明暦の大火で竹橋の邸が焼失した時には、紀伊徳川家の屋敷に一時厄介になる。
寛文6年（1666年）に江戸で死去。享年70。
錦絵や浪曲でよく語られる、御殿から男を誘い込んで弄び、それらの男を全員殺したという「吉田御殿の話」が伝説として生まれている。
墓所は東京都文京区の伝通院。
千姫が亡くなった際、孫娘の奈阿姫が祖母の菩提を弔うために「紺紙金泥阿弥陀経」を書き写した。奈阿姫の書いた「紺紙金泥阿弥陀経」は現在、重要文化財に指定されている。
ちなみに助けられた奈阿姫は後に「縁切り寺」として有名な東慶寺の住職となる。
各地で行われている千姫にまつわるお祭り
常総市（千姫まつりが毎年4月に行われている。）
桑名市（わずかな期間、桑名で暮らした縁から、「千姫」と桑名市の無形文化財である「桑名の千羽鶴」の「千」をかけた「千姫折鶴祭」（桑名の殿様御台所祭・千姫折鶴祭）が10月中旬に行われている。選考会で千姫役が決定され、千姫折鶴行列や千羽鶴ファイヤーセレモニーなどが行われる。）
千姫の墓
千姫墓所のある伝通院ＨＰ
文中メモとして。
鬢削ぎとは。
一定の年齢になったところで吉日を選び（近世では十六歳、上代ではもっと早い）現代の成人式に当たるもので、髪の先をそろえることを言う。
普通「千尋、千尋」と唱えながら髪を削いでやるのは父か兄の役目だが、紫の上と光源氏のように婚約者が手ずから明日の花嫁の髪を整える場合もあった。
この儀式を過ぎた後は各人の好みによって、額や頬の辺り、肩の辺りで髪の一部をそろえることも出来た。この短くした髪も「鬢削ぎ」という。